ITからこだわりカフェへ。移住先で見つけた『田舎だから出来る』こと。

財前 潮さん

前居住地:神奈川県横浜市

Iターン

カフェボスコベル

https://www.cafe-boscobel.com/

 

―加茂谷との出会い

僕はずっとIT業界でエンジニアやマーケティングをやっていましたが、59歳の時に早期退職をすることになりました。それで何をしようかなと考えていたのですが、以前親戚の結婚式で加茂谷元気なまちづくり会の会長である山下さんとの出会いをきっかけに知った加茂谷農業体験に行ってみることにしました。山下さんと出会って加茂谷のことを知るまでは、具体的に田舎暮らしを考えたことはなかったので、この出会いが移住するきっかけになりましたね。

―移住を決めるまで

加茂谷には私と娘の2人で1週間滞在しました。主に山下さんの畑で農業体験をしていたのですが、ちょうどこの家が売りに出ていたので見に行きました。その頃、横浜でも仕事を探していましたが、年齢の事もあってなかなか見つからないのが現状でした。それがこの家を見てからは定年後のキャリアを考え『加茂谷でこの家を使って何かできないかな』と考るようになりました。農業は僕には世界が違うかなと思ったけど、この家を使って商売をするのはできるかもしれないと。それで、唐突なんですけどこの家を買って移住することを決めました。それから1か月後くらいに妻を加茂谷に連れてきて相談したのですが、初め妻は反対でした。妻の仕事や家族の事もあったので、まずは僕一人でこっちに来てみるということにしたんです。妻も「やるんやったらやったら」っていう感じで(笑)実際に加茂谷を見てからは、あまり悩むこともなく、ぽんぽんと決まっていきましたね。

―昔から好きだった料理を活かして

引っ越しをしてきたのは2017年1月末。移住したすぐは徳島市内で塾の先生をやってたのですが、加茂谷で具体的に何をやるかは決めてませんでした。でも、地域の色んな人と話している中で、飲食店をやろうかと思うようになりました。僕は以前から料理が好きで、時にはハムやベーコンも作ったりしていたので、周りの人がお店をしてお客さんに食べてもらったらいいんじゃないかって言ってくれて。加茂谷の人と話しながらだんだんと形が出来てきたような感じです。

―カフェをオープンするまで

飲食店をやるって決めてから色んなお店を回りました。それで気づいたのは、こっちには女性がゆっくりできる空間がないんじゃないかなって。今の世の中、インターネットで何でも買えて、田舎と都会で手に入る物の差ってあんまりないじゃないですか。でも、空間として東京だったら女子会をやるようなお店はいっぱいあるけど、こっちは少ない。なので、女性がゆっくりできるお店を作ったらいいんじゃないかと思いました。

お店を始めるまでにハムやベーコンを商品に出来るように考えたり、他のメニューをどうするかとか色々やりましたね。あとは、飲食業の経験がないので、当時流行っていた「いきなりステーキ」でアルバイトをしてみたり。お店をオープンするまでは色々計画してやるのは面白かったです。もちろん「やっていけるんかな?」っていう不安もありました。でも、やってみないと分からないですからね。今はちょっとは慣れてきたかな。それで、2018年の2月に妻と娘が来て、一緒にお店を手伝ってくれることになりました。女性向けのお店にするなら女性の意見は大事だし、僕一人じゃできないからね。インテリアとかも妻と娘がやってくれました。

―大変だったこと

仕込みに時間を取られるので、オープンしてからの方が大変でした。サラリーマンだったら土日休みでオンオフ分けられますけど、家とお店が同じところにありますから、ついつい休みでも仕込みをしたりしてしまいますね。田舎でスローライフができるかと思うんですけど、意外と忙しい。前と比べたら通勤時間もゼロだし、生活サイクルはガラッと変わりましたね。でも、都会で暮らすのとギャップはあんまりなかったです。車移動が基本だし、生活自体は変わったけど、困ったことはあまりないですね。

―加茂谷でよかったところ

周りの皆さんの協力体制がすごいです。色んな発想があって、計画段階から一緒に考えてもらって。お店のロゴも松田さん(大阪から就農移住)に作ってもらいましたし、和田さん(埼玉から移住してパン屋を経営)もフードコーディネーターの人とか色んな人を紹介してくれました。周りの協力してくれる人がいないとできなかったなと思います。

―都会と田舎の違い

都会と田舎だと価値観が違うと思います。都会はすべてのものに値札がついていて、お金が軸になってしまっているけど、田舎はそうじゃないなと感じました。色んな人が手伝ってくれるんです。初めの頃は『手伝ってくれたのにお金払わんでええんかな』って思ったりもしましたよ。手伝ってくれるっていう人に対して、いくら払ったらいいんだろうとか考えてしまうんですけどそうじゃないんだなって。その人の考え方次第ですが、都会のお金の軸からどれだけ離れられるかじゃないかな。離れられたら田舎の方が楽だと思います。

―これからのこと

お店のメニューを充実させていきたいですね。加茂谷にはたくさん良い農産物があるので、地域で作られている野菜や果物を使ったメニューなども開発したいと思います。加茂谷元気なまちづくり会と地域おこし協力隊が作ったすだち唐辛子のように6次産業につながっていくものになればよいなと思います。

―これから移住する人に向けて

田舎だから出来ないだろうっていう固定概念を持たない方がいいんじゃないかな。例えば、こんな田舎でお客さんいないでしょって言われることもありますが、やり方次第だと思います。そういう概念を広げたら田舎でも色んな事が出来る気がします。ずっとIT業界で働いていた僕が横浜ではお店なんて出来てなかったでしょうし、逆に田舎だから出来たんだと思います。横浜でお店を始めても、別に誰も気に留めないけど、ここでお店を始めたら「店出来るんやって!」ってすごい話題になりますからね(笑)そういう点でも田舎の方が可能性があると思います。